Maniken〜地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所〜

17歳の町内会長から学ぶ現代組織の閉塞感の本質

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一般社団法人Maniken
地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所
中村 健

先日、17歳(高校3年生)で町内会長になり4年間務めた金子陽飛さんに東京へお越しいただき、WASEDANEO『地方創生講座』にて話をしていただいた。
金子さんに登壇いただくのは今年で2回目。昨年初めて話を聞いた際、衝撃を受けた。衝撃とは「的を射抜いているキーワードがどんどん出てきた」からだ。普段”なんとなく”考えていた者が、若者の言葉からストレートに発せられ、ハッとすることばかりだった。

その1つが、「町内会には若者は入りませんね。だって、『お金(会費)を払わされ』、『嫌なこと(役員や係)をさせられ』、『一生懸命やろうとしたら(新たに改革や改善)怒られる』んですよ。こんな組織に若い人たちは、まず入らないでしょうね」という話だった。
なるほど、その通りだ。
ヤル気を出して頑張っても「今までこうやってきたから今までの通りで良いから」と言われたら、ヤル気も失せるし「次がんばろう」という気持ちは芽生えて来ないだろうなぁ。
上の者の経験やこれまでの慣例をず~っと続けていくと、場合によっては、俺が適切であろうが、現代社会のように日進月歩で科学技術は進化し、価値観は多様化・複雑化しているなかで、今までと同じ手法やプロセスが最適というモノは少ないだろう。
特に、若者はスマートフォンの活用やSNS等でのコミュニケーションに慣れているため、世代が違う年上の人達との感覚とは異なったモノを持っているケースが少なくない。
「今まで通りで良い」という考え方は、その経験者層の人達には受け入れられるだろうが、その経験をしたことのない世代や組織文化に初めて触れる人からは馴染みが無いため、違和感を持たれることが多い場合もあるだろう。

そういえば、公務員志望の大学生と話をしていた時、学生が「インターンで市役所へ行ったんです。未だに紙資料で会議やってるし、机周辺は紙資料であふれているのを見て驚きました」と言ったことを思い出した。今の学生はコロナウイルスが流行した頃に学生であって、ペーパーレスやオンライン会議が標準であることを経験している世代だ。そういう人たちから市役所の働き方をみると違和感を感じる場面は沢山あるように思う。ましてや、今までの手法を何の説明もなく押し付けてくると、納得感も得られずに、そのことに従事することについてモヤモヤや不満は蓄積されていくだろう。

立場や年齢が上の者は、自分の価値観を押し付けるのではなく、そもそもの目的が目指すところが正しければ、若者の意見に耳を傾け、理解を示して「任せる」ということをしていかなければ、新しい風は起こり得ないだろうことを意識しておいた方が善いだろう。
膠着化した考え方こそ、あらためなければならない問題解決のための本質かもしれない。

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