Maniken〜地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所〜

予算主義から決算主義への挑戦(3)地域経営=決算主義

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一般社団法人Maniken
地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所
中村 健

全国の人口推計から、2040年には人口約10万人未満の自治体は86%、中でも人口1万人未満の自治体を見ると全体の4割近くになるとみられている。
2000年地方分権一括法から本年で四半世紀が経過し、2014年には人口の東京一極集中是正を目指した「まち・ひと・しごと創生法」(いわゆる地方創生法)が施行され、そこから10年が経過した。
皆さんの地域は、2000年以降を振り返ってみると、どの辺が善くなってきただろうか?どの辺が未だ足りておらず政策を実施しなければならないだろうか?
2000年以降、市町村は何もしてこなかったわけではない。様々な政策を実施し、国等の補助金も活用しながら、いわゆる地域経営に取り組んできた。2014年の地方創生法の施行以降は、国が用意したメニューを基に更なる予算を使って政策を実施してきたはずだ。
その効果は、どのように表れてきているだろうか?

これまでのブログに「行政は予算主義に陥っていないか?」という事を書いてきた。
地域経営は、実は予算主義では実現しない。その逆の決算主義でなくてはならない。

その理由は、「経営」という言葉の意味を紐解いてみるとわかりやすい。
経という字は「構想を描く」という意味がある。
昔、大工さんが「こういう家を建てたい」という時に設計図を描いてから着手していくが、土の上に糸を張って、そこに土台を造って木を組み上げて家を建てていった。糸偏(糸を張り)に土(土台)の上に又(屋根を組んでいく)字が「経」という字である。
「こういう家を建てたい=構想を描く」というのは、ビジョンや将来の在りたい姿のことである。
一方、「営」という字は「実行する」という意味がある。
すなわち、経営とは、ビジョンを描き、そのビジョンを実現するために実行していくことなのだ。

これを地域経営にあてはめてみると、「こういう地域になりたいというビジョンを描いて、それが実現するように実行していくこと」が地域経営ということになる。
ビジョンとは、「活動をした結果に到達したいゴール」のこと。すなわち、決算である。
決算は「予算を付けて活動した結果どうなったか」のことであり、逆に言えば、予算とは「決算時にこういう状態を実現したい」という事があってから考えるものである。よって、地域経営は、予算決算でみれば、決算主義でなければならない。

ところが、これまで書いてきたように多くの行政は予算主義になっている。予算を獲得するところに意識が集中し、予算が付けば、それを計画したとおりに執行し、本来の目的がどうだったか、どのような成果や効果を生み出そうとしていたかについては意識が希薄になっているケースが散見される。
また、各部、各課、各係、各担当者単位で動くことが多いため、組織的(面的)は活動にはなりづらく、個々(点)の活動に留まってしまい成果が出にくくなっている。
決算から逆算して考えれば、「こういう状態を創り出したい」ということから「〇課と△課が連携したほうが良い」とか「〇事業と△事業は一緒にしたほうが効果が上がりやすい」等の意見や活動にもつながりやすい。

今回3回に分けて、地方創生は予算主義から決算主義へと頭の中の思考が変わることが根底には重要であるという事を書いてきた。
一朝一夕にはいかないことは重々承知しているが、それでも、2000年からもう25年経過している。地方創生法からも10年が経過した。今なお「やっているのに上手くいかないなあ」と思われている人は、一度、予算主義と決算主義の視点で考えてみていただきたい。

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