早稲田大学デモクラシー研究所の招聘研究員で旧マニフェスト研究所初代事務局長である、日本大学法学部教授、林紀行氏の授業に参加して参りました。

本日の授業は特別スピーカーとして、君津市人事課の安田さんが招かれ、君津市役所の人材マネジメントについての講義です。君津市は2022年より地域経営部会(旧人材マネジメント部会)にご参加され、その当時より安田さんが参加者に伴走し、組織変革に向けて実践研究されています。
安田さんは入庁当初より、この人事課に配置され、持ち前の粘り強さと人をホッとさせるような雰囲気でこの人材マネジメントを先導しておられます。

市役所に入庁する前は、地域に貢献できる安定した職場とイメージしていました。ところが、現実。目の前の仕事が山積していて、改善する余裕すらない状況であったとお話されていました。
君津市は、2012年地方公務員給与調査のラスパイレス指数が全国1位。これにマスコミや地域の住民が注目。賃金の引き下げも余儀なくされました。
そのような背景もあり、責任の重い職に就く人でも、賃金は少なく、仕事は常に押し付け合いの縦割り主義な職場。
そんな状況の中、安田さんや人事課のみなさんの取組みが始まります。
たどり着いたのは当時四條畷市さんで取組みんでいたエンゲージメント調査。職場の活性化を可視化して、改善することが可能になるこの調査。横文字はちょっと・・・という職員には「職場の健康診断です」と説明し調査に協力してもらったそうです。
可視化した上での改善活動は決して重たいものにしてはいけないと、簡単な取組みから始めました。具体例のひとつとして、コミュニケーションの希薄さを感じていた部署で、朝礼時に当番制でGood&Newを発表。それまで仕事上での会話しかしてこなかった人たちが、プライベートな話もするようになりコミュニケーションが円滑になったそうです。
また、市長さんもこの取組みに積極的に関わり、非常に時間がタイトな中、モチベーションが低下されている職員層を相手に対話会を開催。市長さんが街に対する思いを告げ、職員さんたちがこれから君津市で働き続けるためにどんな職場(組織)にしていったらいいかという対話会を何度も開催したそうです。

これまでに提案されて実現された取組み例として
・ノーネクタイ勤務
・名札デザイン変更 顔写真→フルネーム→苗字のみ(ローマ字)
・職員の休憩スペース確保
等、小さな改善のようにも見えます。が、モチベーション・エンゲージメントという言葉は職員さん達の共通認識になっていったのは間違いないとのこと。
人材育成は目に見えず、こつこつと長期に積み上げていくものだけど、その種は確実に成長している君津市の姿を安田さんは熱を込めて講義してくれました。
公務員志望の学生さんたちも熱心に耳を傾け、講義後はたくさんの質問をしていました。
今年の3月に千葉ロッテマリーンズファーム本拠地の移転先が君津市に決定したそうです。プロ野球チームと連携し、地域活動が活発になる近い将来に、君津市の組織変革も加速できるよう願ってやみません。

~~Maniken主催 地域経営部会のご紹介~~
どこの自治体でも同じような課題は持っていると思います。全国の自治体事例を紹介し合い、参考にし、実践研究していくのが「地域経営部会」です。自治体関係者の皆さま、一度覗きにきてみませんか?