Maniken〜地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所〜

高付加価値化にはオリジナリティを

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一般社団法人Maniken
地域経営のためのあたらしいマニフェスト研究所
松本 清子

栃木県の茂木町と京都府の和束町に行って参りました。
それぞれの町における特産物に付加価値を高める方法について調査してきました。

茂木町内には素晴らしく美味しい黒部和牛を出荷している畜産農家さんがいらっしゃいます。ここでは生後から12か月までの牛と母牛を放牧で育てています。自然で育てることにより、ストレスフリーで健康に育つことが特徴だそうです。


これまでは、この美味しい牛肉を県内の他の生産者の肉とブレンドして「栃木牛」として卸ていたそうです。私も実際にスーパーで栃木牛が陳列されているのを見たことがありましたが、それはとても安価なものでした。脂身が大半を占めている肉で、とても放牧して育てられた肉には見えませんでした。
茂木町で育てられているこの牛をブランド化には、他の肉と混ぜずに「もてぎ黒毛和牛」として世の中に売り出すことにしました。結果、製品は高付加価値化しそれまでによりも高い値で販売することができたということです。

京都府和束町のお茶も同じように価値を高めています。京都府の山域地域内だけでも10の市町村がお茶の生産をしていますが、それらは全てブレンドされて「宇治茶」として販売されています。宇治茶自体は高級なイメージがありますが、その中でも和束町で生産されているお茶は非常に美味しいお茶だということです。

それは、和束盆地の地形を巧みに利用した生産体制にも起因するそうです。急勾配の斜面には茶摘みをする機械が入れず、茶畝を挟んで二人で機械を持ち、畝間を歩きながら摘採する「手摘み」に近い茶摘みが行われているのです。摘まれたお茶は数時間以内には焙煎工場に運ばれて、焙煎されます。その為、地域には何か所もの焙煎工場があります。また工場ごとに焙煎の特徴があるとの事です。
和束町には「和束茶カフェ」というショップがあり、ここでは和束町の●●さんのお茶という、ブレンドされていない「シングルオリジン」のお茶を購入することができる唯一の場所です。壁には生産者の顔写真があります。ショップの店員さん達はそれぞれのお茶に精通されている方々で、製品についての知識をお客さんにお伝えすることが出来ます。つまり個々のお茶の差別化をして価値を高めているのです。
ブレンドされている製品から丁寧に生産された商品に光を当て、シングルオリジンとして高付加価値化していく、そのような地域の努力を見ることができました。

※ブレンドすることによるメリットもありますので、これが決まった答えではないということを申し添えておきます。

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