2026年10月1日から、福岡県田川市(浦野仁市長)で、Manikenの「聴くAI」を活用した取り組みがスタートします。

参考リンク:https://youtu.be/Dx3SpV5cVK8
「聴くAI」は、住民の声をオンラインで集め、AIで整理・可視化し、政策づくりにつなげるための仕組みです。「デジタル民主主義2030」が公開しているオープンソース「広聴AI」をもとに、Maniken独自の機能を加えて構築しています。
8月のリリース以降、実際の自治体や議会で活用しながら機能や運用方法を検証する実証研究先を募集してきました。今回、田川市で実際の住民広聴に活用し、住民の参加のしやすさや、集まった意見の分析、政策形成への活用方法などを共同で検証していきます。
住民の声を集めるだけではなく、政策形成につなげる
これまでも各自治体では、住民アンケート、パブリックコメント、意見交換会など、さまざまな方法で住民の意見を集める工夫をしてきました。一方で、意見を募集しても回答する住民が限られることや、集まった意見を十分に分析できないこと、分析結果がその後の政策形成にどのように使われたのかが見えにくいことなどの課題がありました。
聴くAIは、住民が意見を投稿すると、既に投稿された似た意見を探し出したり、投稿された内容を深掘りし、その意見の背景を具体的に整理していきます。

例えば、「駅にエレベーターが欲しい」といった要望(Wants)に対して、その要望をそのまま受け取るだけではなく、なぜ必要なのか、どのような場面で困っているのかを聴くAIが対話相手となり順を追って確認していきます。そうすることで、その意見の背景にあるニーズ(Needs)を把握することができます。
たとえば、重い荷物を持って階段を上ることが難しい、車椅子やベビーカー利用者が移動しづらく別のルートを使わなければならない、といった具体的な課題が見えてきます。
「エレベーターが欲しい」という一言の要望でも、背景にある課題は一つではありません。その背景からニーズを整理することで、エレベーターの設置以外にも、動線の改善や案内の見直し、別の移動支援策など、複数の対応策を検討できるようになります。
また、同様の経験をもつ住民はこの投稿に対してコメントをしたり、「共感ボタン」を押すことができます。政策担当者は共感の広がりを確認することができます。

住民の声を意見のまとまりごとにマッピングして可視化したり、回答時に年代や居住地域などの属性を取得することで、属性ごとの傾向を見ることもできます(CSV出力)。例えば、全体ではそれほど多くない意見でも、特定の年代では多く挙げられていることがあります。地域別に見ることで、特定の地区に集中している課題が見つかる場合もあります。全体の集計結果だけを見ていると見落としてしまう違いを確認できることも特徴です。
進捗をフィードバックすることが重要
投稿された意見がその後どう扱われたのかを住民自身が確認できることが継続的な広聴にとって必要不可欠です。せっかく意見を投稿しても、その後どうなったのか分からなければ、「書いて終わり」「聞きっぱなし」になってしまいます。検討過程や結果が住民に伝わらなければ、「意見を出しても何も変わらない」「どうせ言っても無駄」と受け取られる可能性があり、そのような状態が続けば、次に意見募集をしても参加してもらえなくなります。
聴くAIでは、意見を集める、そして集まった意見を分析する、というベースの機能に加えて、その後の検討状況を住民にフィードバックすることが絶対的に必要と考え、「進捗」を共有する機能を入れています。
例えば、どのような意見が集まったのか、その意見をもとにどのような検討を行ったのかを文章や画像、場合によっては動画などで示すことができます。集まった声に一つずつ返事をするということではなく、AIがまとめた「意見のまとまり」に対してフィードバックすることができます。
最後に、「聴くAI」は、意見を聴くことや、その意見を整理、要約することはできますが、どの政策を選択するのか、どの意見を重視するのかといった価値判断は行いません。住民の多様な意見を整理し、検討しやすい状態をつくりますが、その上で、行政や議会が議論し、最終判断をしていくことはきます。大量の意見を整理する作業にAIを活用することで、人は論点について検討したり、政策の選択肢を考えたりすることに集中することができます。
Manikenでは、今回の実証を「聴くAI」という一つのシステムの検証だけではなく、今後の自治体広聴の方法を検討する実証研究として位置づけています。
「聴くAI」の実証研究先の募集はまもなく終了となりますが、実証結果などをManikenのウェブサイト等で紹介する予定です。関心のある自治体・特に議会の皆さまは、ぜひManikenまでお問い合わせください。