地域経営部会では、20年前から変わらず大切にしている考え方があります。
その一つが、「立ち位置を変える」ということです。
自治体職員として仕事をしていると、どうしても役所の立場から物事を考える習慣が知らず知らずの間に身についています。
法律はどうなっているか、予算はあるか、前例はあるか、担当課はどこか。
もちろん、それらは行政にとって欠かせない視点です。しかし、その視点だけで仕事をしていると、本当に解決しなければならない問題を見失ってしまうことがあります。
例えば、パブリックコメント。
制度の目的は「住民の声を聴くこと」です。
では、多くの住民は「今、パブリックコメントを募集しています」ということを知っているでしょうか。
行政は「ホームページでお知らせしています。」「広報紙にも掲載しています。」と言います。
確かに、そのとおりです。でも、生活者の立場から見ると「そんな募集をしていたこと自体、知らなかった。」という人が少なくありません。
行政は「知らせた」と思っていても、住民は「知らされていない」と感じている。ここには、大きなギャップがあります。
これは、誰かが悪いという話ではありません。
立っている場所が違うから、見えている景色が違うのです。
だからこそ、私たちは時々、自分の立ち位置を変えてみる必要があります。
役所の机から地域を見るのではなく、住民の暮らしの中から役所を見てみる。
「子育て中の保護者だったら、どう感じるだろう」「高齢者だったら、情報は本当に届いているだろうか」「高校生だったら、この制度に興味を持つだろうか」。そんな問いを持つだけで、仕事の見え方は大きく変わります。
地域経営部会では、「何をやるか」を考える前に「誰のためにやるのか」を考えることを大切にしています。
制度を実施することが目的ではありません。住民に価値を届けることが目的です。
だから私たちが問い続けたいのは、「やったか」ではなく「相手に届いたか」。
この問いを持ち続けることが、「立ち位置を変える」ということなのだと思います。
この一年間、皆さんと一緒に、何度も立ち位置を変えながら、本当に地域に必要なことは何かを考えていきたいと思います。